1級着付け技能士の試験対策について熱く語ってまいりましたが、今回は少しブレイクタイム。
「そもそも、なぜ私が1級着付け技能士を目指したのか?」という、超個人的な「箸休め記事」です。
結論から言うと、一番のきっかけは「民間のお教室の『看板制度』にほとほと嫌気がさしたから」でした。
「出来レース」のようなお免状システムへの違和感
確固たる看板が欲しい。それは、自分自身の自信のなさからくる欲求でした。
だけど、この先お着付けを学び続ける限り、そこはたいてい民間のお教室です。
きっとずっと「昇級代」みたいな名目でお金を払って……言い方は悪すぎるかもしれませんが、出来レースのようにとりあえず教室内の試験を受けて、合格して、お免状を貰う。
当時の私は、そんな流れに心底モヤモヤしていました。
実は私、過去に2か所、民間のお教室で学んだ経験があります。
【体験談1】呉服店の展示会と、20代の私の決断
1か所目は、まだ何も考えず「とりあえず一人で着られれうになろう」と通い始めた、地域のカルチャーセンターのような場所でした。
そこでおしえてくださる先生は呉服店を経営されており、折に触れて展示会のご案内をいただきました。私も「必要かな」と考えて、自分自身の初キモノとして10万円程度の小紋を購入しました。
でも、当時20代そこそこの私には、以降も続く展示会のお誘いが苦痛でたまらなくなってしまったのです。
自分の実力が伴っていないのに、お金を払えば昇級していくシステムも不思議で理解し難く、次第に足は遠のきました。
カルチャーセンターの受講費自体は安く、自分でお着付けができるレベルにはしっかりなれたので、大きな成果はありました。でも、日頃お世話になっている先生からのお誘いは断りづらいものです。
ある時、何万円もする代物を購入しようとしている状況が精神的に重荷になり、思い切ってお電話でキャンセルをお伝えしました。これが出来る人とできない人で分かれると思いますが、当時の収入も低かった私には「新品のお着物を何着もあつらえてもしょうもないな」という思いがあり、ご縁が薄くなってもいいと決断したのです。
【体験談2】お仕事をいただくための「暗黙のルール」?
2か所目は、あるお教室で学んでいた頃のこと。すでに「1級着付け技能士」の存在は知っていましたが、漠然とハードルが高そうで、「別に資格をとらなくてもお着付けの仕事はできるし」と考えていた時期です。
そこではお着付けのお仕事をいただける環境だったのですが、例えば「成人式のお仕事」をいただくには、事前に1回5,000円の「成人式特訓」を受講し、そこでお仕事に割り振ってもらうような流れがありました。
公にはされていませんでしたが、「今回は(特訓は)いいかな」と見送ったずっと学び続けてらっしゃる先輩方が、お仕事を振っていただけなくなった……というお話を伝え聞き、強いあべこべ感を感じたのです。
着付けは「無資格」でもできる仕事。だからこそ。
多くの皆さんがご存知のように、どれだけ高名なお教室のお免状も、基本的には「そのお教室の中だけで有効なお免状」です。そこに所属していれば凄いお免状ですし、それを取るための努力も相当なものだと思います。でも、大海は広し、です。
そしてもう一つ、重要なこと。
お着付けは、何の資格がなくてもできるお仕事です。自称「着付師です」と名乗っても、法律上まったく問題ありません。
(※ちなみに、ヘアメイクは美容師免許が必須です。この違いについては、こちらの記事がとてもわかりやすいのでご参照ください:ヘアメイクの仕事に美容師免許は必要?)
だからこそ、私は確固たる「看板」が欲しかったのかもしれません。
どこかの流派の民間資格ではなく、国が認める強力な「国家資格」という看板です。
私の出した『〇』と、合格がもたらしたもの
もちろん、資格を取るも取らないも、どちらも『〇(正)』だと考えています。
だって、実際に資格皆無でも、とんでもなく高い技術をお持ちの素晴らしい先生方はあまたいらっしゃいます。私みたいな「ぺぇぺぇ」が何か言うのはおこがましいくらいです。
でも、私の中の『〇』は「1級着付け技能士をとること」でした。
自己満足の域かもしれません。でも、合格に向けての練習によって、他の合格者の方も仰るように、確実に「技術の底上げ」という成果がありました。「上手くなったな」と自分自身でわかるほどに変わりました。
そして何より、自覚が変わりました。
「1級着付け技能士=お着付けのプロ」なのだから、お仕事への取り組み方も更に真摯になりました。
「上手くて当たり前なんだから、ちょうしこいてんじゃねぇよ」って、常に自分に語りかけ、完成度を追求するようになったのです。
ちょっとした「ご褒美」のお話
最後に、ちょっとだけご褒美だなと思ったこと。
ふと調べてみて分かったのですが、1級着付け技能士って、実は結構「希少性」が高いらしいのです。
美容師さんが全国に何十万人といるのに対して、1級着付け技能士の累計合格者はまだ1万人程度とのこと。「おや、私ってちょっと珍しい存在??」なんて、少し嬉しくなりました。
そしてもう一つ。
本番でモデルを務めてくれた娘が、合格を知った時に「自慢できる!」と言ってくれたことも、嬉しかったです。
こそっと言います。
合格が分かった時、嬉し涙を流しました。
きっと、あの時の涙が、私の目指した『〇』のすべてを物語っているのだと思います。
ご参考になるかわかりませんが、最後までお読みいただきありがとうございました。

