1級着付け技能士の実技試験に向けて準備を進める中で、ふと疑問に思うことはありませんか?
「試験中、モデルとの一礼(あいさつ)は必要なのだろうか?」
結論から申し上げますと、私の経験上「必要です」とお答えしたいです。
正直に申し上げますと、今からお伝えすることは公式の試験要項に表記されているルールではありません。ですから、極論を言えば「すっ飛ばして(無視して)受検いただいても、減点対象にはならない事柄」かもしれません。
それでも、私が受検生の皆様にあえてこのことをお伝えするのには、「備えあれば憂いなし」という確かな理由があるからです。
「軽くでいいのよ。でも、検定委員は見ています」
以前の記事でもご紹介した、対策講座の先生からいただいた「黄金のメモ」。
実はその項目の中に、『あいさつ一回(モデルとの一礼)』という教えが含まれていました。
当初、私はこの「モデルと一礼する」という行いが全く理解できませんでした。
「いったい、いつのタイミングで?」「どの程度の深さのお辞儀を?」「そもそも、そんな行い、すっ飛ばしてもいいのでは?」と、実際の受検会場での動きがイメージできず、もやもやとしていたのです。
そんな私に、対策講座の先生はこう仰いました。
「本当にお互い軽く、会釈程度の一回でいいのよ。でもね、検定委員の先生方はそういう所作も見ていますからね。」
私が実際に行った「一礼」のタイミング(計2回)
対策講座の先生からは「お着付け開始前に1回でいい」と提案されましたが、私は実際の試験本番では「2回」の一礼を行いました。
具体的なタイミングは以下の通りです。
- ① 補正・長襦袢着付けの「開始直前」
- ② 着物着付け・帯結び(草履まで)の「開始直前」
それぞれの作業に入る直前、真横に立つモデルさんとお互いに軽く会釈をし、極小の声で「宜しくお願いします」と伝え合いました。
普段の練習時からこの一礼を手順の中に組み込み、モデルさんにも「練習の時は必ず一礼をお願いね」と伝えていたため、実際の受検時も緊張することなく、お互いにスムーズに一礼し合うことができました。
なぜ「公式にない所作」を徹底したのか?
「取るに足りない、あってもなくても結果は変わらない些細な事柄」。今でも少しだけ、そう思う自分もいます。
それでも、あえて一礼を強調してお伝えし、私自身も徹底したのは、「決して邪魔になる対策ではなく、むしろ検定委員の先生方への心証が良くなる(かもしれない)行いであるならば、絶対にやっておくべきだ」と考えたからです。
そして何より、モデルさんとの一礼があった方が、私自身の心が整い、試験の進行がとても円滑でした。
「礼をもって礼を尽くす」ではありませんが、気持ちは伝播します。
受検者である私が「宜しくお願いします」と礼をもってお願いし、その気持ちを受けてモデルさんも「一緒に頑張ります」という意味合いで応えてくれる。
私の場合、モデルは自分の娘(親子受検)でした。だからこそ、家族という「馴れ合い」の空気を出さないための、プロとしての戒めも少しだけ含まれていたかもしれません。
「技術だけじゃない」合格域の空気感
現在、お仕事現場でも、私はお客様に対して必ず「では、はじめますね。宜しくお願いいたします」というような言葉と一礼を発しています。
試験対策として徹底したこの行いは、結果的に「プロの着付け師として現場で一番大切な所作」として、私の身にちゃんと染み付いてくれました。
不合格年の苦い経験から、「技術だけじゃない合格に至る域がある」と痛感していた私。
だからこそ、合格年の対策講座でいただいた『あいさつ一回』という教えを、「絶対に外してはいけない、取りこぼしてはいけない対策の一つ」として捉え、日々の練習に取り入れたのです。
もちろん、あいさつを一回もしなくても合格された方は実在するでしょう。
公式発表されていない事柄を「絶対です!」と力強くお伝えするのは難しいものです。
それでも、このブログを読んでくださる皆様にはお伝えしたいのです。
「合格に至るための域」を培うために、この一礼は決して邪魔にならず、むしろプラスに作用したと実感している合格体験者がここにいる、ということを。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

