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【1級着付け技能士】モデル選びの失敗と正解!身長や年齢より大切な「たった1つの条件」

1級着付け技能士の実技試験会場で青い振袖を着た身長150cmの娘(モデル)の美しい着姿 モデル対策

1級着付け技能士の実技試験に向けて、着物の準備と同じくらい受験生を悩ませるのが「モデルさん選び」ではないでしょうか。

というのも、2級の実技試験はボディ(トルソー)での受検ですが、1級からは「人間モデル」が必要になります。この受検条件の違いが、一気にハードルを引き上げているように感じます。

実は私自身も、長い間1級の受検をためらっていた最大の理由が、この『人間モデルを伴って受検しなければならない』ということでした。

今振り返れば、勝手に自分の中でハードルを高く設定して、重く捉えていただけなのです。
あれこれ悩まずに「えいやっ!」と勢いに任せて受検してしまえばよかったものを……(笑)。

「プロやセミプロにお願いすべき?」「若くて背が高くないとダメ?」「年齢制限はあるの?」
色々な噂が飛び交いますが、今回は私が実際に経験した「モデル選びの迷走」から導き出した、身長や年齢よりも大切な「たった一つの条件」についてお話しします。

公式ルールは「女性であること」のみ

まず、モデルに関する公式のルールを確認してみましょう。

【受検者持参品より抜粋】
モデル:人間モデル 数:1 種類:女性

【よくある質問より抜粋】
Q.モデルの年齢や身長に制限はありますか?
A.モデルの年齢や身長に制限はありません。

このように、年齢や身長に関する制限は一切ありません。
しかし、いざ受検を決めた当初の私は、この表記されている言葉の裏にある実技試験の恐ろしさを、つゆほども知らなかったのです。

迷走の始まり:165cmのモデルと155cmの振袖

受検を決意した時、私は具体的に「身長165cm程度のすらっとした社会人の方」にモデルをお願いしようと打診していました。若干お胸の大きさが気にはなりましたが、着物映えするスタイルでモデルに最適だと考えたからです。

その時、私が本番で使用しようと考えていた振袖の身丈は「155cm」でした。
試しに着用していただいたところ、それなりにお着付けができたので「うん、モデルも着物もこれで大丈夫!」と安心しきっていました。

しかし、対策講座を受講し始めると、先生方から次々と恐ろしい、いや、ごもっともな御指摘を受けることになります。

『その身丈で、おはしょりは真っすぐ綺麗に作れるの?』
『身丈はモデルの身長より、せめて+10cmはないと厳しいわよ』
『お胸がある方なら、補整もしっかり考えなきゃダメよ』

モデルさんと一緒の練習は後半を予定しており、ボディで対策講座を受講し始めた頃のことです。……おやおや。これは全く宜しくない状況だと悟りました。
「試験に合格するための着付け」には、着物の寸法や補整の緻密な計算が不可欠だなんて、恐れを知らない当時の私は全く分かっていなかったのです。

ここから、私の「モデルと着物準備の迷走期」が始まります。
モデルさんの身長に合わせて+10cm以上大きい身丈の振袖を新調すべきか? そうなると長襦袢も必然的に新調しなければいけない……あぁでもない、こぅでもないと、夜な夜なフリマサイトを彷徨う流浪の旅と化していました。

……ちなみに、ご参考までにここで私の結論をお伝えしておきますね。

最終的に私は、「モデルの身長+10cm以上」の振袖は採用せず、あえてそれ未満の身丈のものを選びました。
なぜなら、実際に試してみたところ、+10cm以上もある長い身丈の振袖は、受検という限られた時間と緊張の中では逆にお着付けの処理がしづらく、私にはリスクが大きいと判断して回避したからです。

「コンクールじゃないんだから」の一言で救われる

そんな泥沼の中で、対策講座の先生からふとこんなお言葉をいただきました。

『モデルさん、別の方に変更はできないの? コンクールじゃないんだから。検定なんだから、モデルさんは身長が低くてもいいのよ』

そうか、そうなのか!
時折「1級着付け技能士の試験は、セミプロのモデルさんに依頼して受検する」という話も聞きかじっていたため、「モデル=長身でスタイルが良い人」という思い込みに囚われていました。これは目から鱗の意外な情報でした。

娘との二人三脚。モデルに「プロ」は必要か?

程なくして、私は身長150cm程度の我が娘にモデルを依頼する運びとなりました。
年頃の娘のスタイルは、時期によってはお腹がぽっこりしていることもあり、決して「着物モデルとして完璧な体型」というわけではありませんでした。

それでも、ここで少しだけ娘を称えさせてください。
娘は、自宅練習や対策講座への同行など、2年を通じてなんと20回以上も私の練習に付き合ってくれました。娘の貴重な時間を頂いているのだから、「絶対に合格しなければ」と折に触れて強く心に誓ったものです。

結果として、モデル経験が全くない、身長も低めの娘と共に受検し、私は1級に合格しました。
不合格だった年と比べて、合格年は娘のお腹ぽっこりも少しおさまり、何より娘自身が「受検慣れ」してくれたことも大きく功を奏したのだと思います。

だからこそ断言できます。モデルさんは、プロやセミプロでなくても、一般の方(ご家族やご友人)で十分に通用します。

モデルの「年齢」も気にする必要はないと考えます

また、「モデルの年齢」について気にされる方も多いですが、これもネックにはならないとお伝えしたいです。

実際の受検会場を見渡すと、おそらく人生の先輩であろう年配の方をモデルにして受検されている方もいらっしゃいました。
そして実際に、そうした人生の先輩モデルさんと共に受検に臨み、見事合格されている方はとても多いのです。

こうした光景こそが、年齢も身長も、採点の優劣には直接関わらないという何よりの表れなのではと私は考えています。

身長や年齢より大切なのは『体幹』と『正面を向く姿勢』

では、モデルを採用する際、何が一番の指針になるのか。
私が2年間の練習と本番を経て導き出した、あえて言語化したい「たった一つの条件」があります。

それは、『体幹(姿勢を保つ力)』です。

練習を重ねれば重ねるほど、ボディでの練習と、生身の人間での練習の違いを痛感します。
私の娘は、ずっと「正面を向くこと」が苦手でした。目の前で親が必死に着付けをしているのですから、気になってつい下や横を向いてしまうのは当たり前です。

でも、それだと本当に困るのです。

当時の私の技術的な未熟さも相まってのことですが、受検への危機感が日に日に募る中、モデルさんが真っすぐ前を向く姿勢が少しでもブレてしまうと、どうしても着物の中心がズレてしまい、決めたいところがビシッと決まらなくなってしまうからです。

『ごめんね、見づらいかもしれないけれど、中心がズレちゃうから真っすぐ正面を見ていてね』

練習中、娘に何度こうお願いしたことでしょう。

合格を支えた、最後の5分間の「ささやき」

そして迎えた、合格した年の本番。
試験時間も残りわずかとなり、いよいよ最終の詰め・手直しに入った「残り5分」の段階で、娘が口を動かさないよう、小声で私にこう囁いてくれました。

『……私、正面向けてる?』

『……大丈夫、ありがとう。』

モデルである娘の側も、「正面を向くこと(姿勢を保つこと)」の重要性を完全に理解し、極限の緊張状態の中で意識してくれていたのです。

もちろん、着付け師としてモデルさんがよろけないよう配慮した動きで臨むのは大前提です。
しかし、それに耐え抜き、微動だにせず中心を保ってくれるモデルさんの『体幹の強さ』と『協力的な姿勢』こそが、試験において最も肝要なのだと確信しました。

まとめ:モデル選びの沼にハマらないために

受検準備前のぼんやりしていた頃の私は、着物の寸法とモデルの体型の関係も分かっておらず、モデル選考の考え方が沼にハマるほど甘かったと、今振り返ると思い知らされます。

これからモデルさんを探す方は、必ずしも身長の高さやスタイルの良さ、若さだけにとらわれる必要はないのかな、と私は考えています。

もちろん、そういったスタイルや若さの条件が揃っているモデルさんにお願いできれば、結果的にお着付けをした際の見栄えがより美しくなり、視覚的に良い結果を招く傾向にあることは確かだと思います。

しかしながら、さりとて、です。

試験という極限の緊張状態の中で一番頼りになるのは、「長時間の着付けに耐えられる体幹があり、本番で一緒に正面を見据えて戦ってくれる人」だからです。

そして、そのようにブレない姿勢で中心を保ち続けてくれる方こそが、結果的にバランスの整った『見栄えの宜しい美しい着姿』へと導いてくれるのだと考えます。

そんな信頼できる方にお願いすることが、合格への一番の近道ではないでしょうか。

ご参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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