「クリップを取り忘れたら、即失格」
1級着付け技能士検定において、もっとも恐ろしく、もっとも避けなければならないミスの一つです。 どんなに美しい着姿を完成させても、クリップが一つ残っていたら採点すらしてもらえません。
そこで私は、「あえて持参するクリップを減らす」という作戦に出ました。 規定では「5個以内」ですが、私が本番で使ったのは「特大・大サイズのみ3本」です。
なぜ5本ではなく3本なのか?その理由と、取り忘れを100%防ぐための管理術を公開します。
1. そもそも規定は何個まで?
まずは公式の「注意事項」を確認しましょう。
クリップ:5個以内(持参は自由) ※目盛付きの場合は、目盛をテープ等で隠すこと。鈴付は不可。着付け用以外(洗濯ばさみ、文具用等)は不可。
「5個以内」とあるので、当初の私は「使えるものは全部使おう!」と、大・小を組み合わせて合計5本用意していました。
2. 「5本」から「3本」へ減らした理由
転機は、迷走期に参加した「箱ひだ講習」での指導員の先生の一言でした。
『これ(特大)は使わないの? こんな小さいので留めるより、しっかり留まるよ?』
目からウロコでした。 確かに、小さいクリップでちまちま留めるより、ガバッと開く「特大クリップ」で留めた方が、1回で確実に止まります。
- 保持力が高い = 留め直す手間が減る
- サイズが大きい = 目立つので取り忘れにくい
- 個数が少ない = 管理が楽になる
「あるから使おう」として手順が複雑になるよりも、「本当に必要な3本」だけで回す方が、手数が減り、結果として時短と美しさにつながると気づいたのです。
3. 私のクリップ管理術(基本の3点留め)
私が実際に使用したのがこちらの3本です。

基本ポジションは、背面の3点です。

(※写真のように、背中心と左右ハの字などに待機させるイメージ)
- 使うときはここから外す。
- 使い終わったら、必ずここに戻す。
- 最終確認で、手元に3本回収できていれば「クリップミッションクリア」。
「5本のうちのどれか」を探すより、「相棒の3本」の行方を追う方が、脳のメモリを消費しません。 私は心配性なので、このシンプルさが精神安定剤になりました。
4. 「目盛付き」は使わず「自分の手」を定規にする
注意事項にある通り、目盛(5mm、1cm間隔で数値などが書いてあるもの)が付いているクリップは、テープで隠さなければなりません。 会場でもマスキングテープで覆っている方を見かけましたが、覆い方が甘くて指導を受けている方もいました。
検定以外の場で目盛付きのクリップを使うことには明確なメリットもあります。 体調によるむくみなどで微妙に変化する「指」と違い、クリップの目盛は「絶対的な数値」です。また、クリップ自体の幅(2cmなど)を定規代わりに活用できる利便性もあり、普段の練習などで愛用されている方が多いのも頷けます。
しかし、私は検定において「テープが剥がれたら即アウト」というリスクを1ミリでも排除したかった。 実際に、注意事項にはこう明記されています。
『試験中は、アラーム類及びメジャー類(目盛付クリップの目盛部分なども含む)の使用を禁止する。』
便利な道具に頼るメリットよりも、道具の状態を気にしなくて済む「安心感」を優先しました。
私はもともと、自分の身体(指の関節や手幅)を定規として使っていたので、目盛付きクリップは使いませんでした。
- 指の関節
- 手の平の幅
これらは練習のたびに定規を当てて、「今の私の手幅は何センチか」を確認していました。 道具に頼るより、自分の身体を信じる方が、テープ剥がれなどの余計なトラブルを回避できます。
5. 名前書きについてのQ&A
「クリップに名前を書くと、目盛とみなされないか?」 これも心配性の私は気になり、対策講座の先生に確認しました。
- 結論: 名前なら大丈夫(目盛ではないから)。
- 場所: 私はあえて「表面(外側)」に書きました。
合同練習などでクリップが行方不明になるのは「あるある」です。内側だと確認しにくいので、堂々と外側に書いておきました。 本番の検定委員による持参品点検でも、全く指摘されませんでしたのでご安心ください。
まとめ:道具の数は「安心の数」ではない
普段の現場仕事では、たくさんのクリップを駆使して手早く着付けるプロの方もいらっしゃると思います。 しかし、検定は「5個以内」という絶対ルールがあり、「取り忘れ=即失格」の世界です。
「5個まで持てるから5個持つ」のではなく、「自分が管理しきれる数」「合格に必要な最低限の数」を選ぶ。 それが、最大のパフォーマンスを発揮する鍵になります。
私の場合は、それが「特大クリップを含む3本」でした。 ご自身の使い勝手と相談しながら、ベストな相棒(クリップ)を選んでみてくださいね。
ご参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございます。

