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即刻失格も?実技試験の合否を分ける「絵羽模様」振袖の選び方

1級着付け技能士実技試験対策。「絵羽模様」振袖の選び方を解説するお雛様(立雛)のアイキャッチ画像 受検記

今回のテーマは「絵羽(えば)模様の選択」です。
少し重い内容になりますが、この選択は合否を分ける極めて重要なポイントになります。

『私たちも心苦しいのよ。習っていた先の先生から「絵羽模様だ」と言われたから持参したと申し出があっても、該当しなければ原則として失格だから。直ぐに退場して貰う事にもなるしね……』

これは、かつて検定委員に携わられたことがある先生から、直接お伺いした言葉です。

正直、「まじか!?」と思いました。それって厳しすぎないか、と。当時の私はそう感じていました。

しかしながら時を経て「厳しくて当然の検定」であり、その確固たる基準があるからこそ目指す価値があるのだと深く実感しています。なので、ただ「厳しい」という表現は少しニュアンスが異なるかもしれません。

「要件を満たしていなければ原則失格、退場」というのは、理不尽な厳しさなどではなく、1級としての品格を問うための「紛れもない現実(当然のルール)」かと存じます。

公式の「注意事項」をしっかり確認しましょう

毎度おなじみですが、まずは公式の注意事項(受検者持参品)から該当箇所を抜粋します。

名称:着物
数:1
種類:中振袖(袷)絵羽模様であること。すべての裾の縫い目の模様(上前衽・前身ごろ・両脇・背・下前身ごろ)がつながっているもの。袖丈は、モデルの身長に合わせたもの(目安として95cm~115cm位)。
絵羽模様と称するものであっても、持参品の模様が上記の要件を満たさないもの、無地、小紋柄、織は失格。

「絵羽模様」。私がこの1級受検に本気で向き合うまでは、深く理解していなかった事柄でした。

そもそも「絵羽模様」とは?

一般的に絵羽模様とは、黒留袖、色留袖、振袖、訪問着などに用いられる、着物に描かれる模様の形式の一つです。

最大の特徴は、着物を広げた時に「一枚の絵」に見えるように、縫い目を境に途切れずに模様が描かれていることです。
上部分の模様は「衿・肩・胸・袖」の縫い目にかけて続き、下部分は「後ろ身頃・前身頃・衽(おくみ)」の縫い目にかけて続きます。

私自身は、受検に該当する絵羽模様とは、いわゆる『総模様(総絵羽)』のことだと捉えて臨みました。

柄の「繋がり」に関する解釈の違い(比較画像)

ここで、参考例として2枚のお写真をご覧ください。

【画像1:柄が途切れている例】

※向かって右側(衿元から胸元にかけて)、柄が途切れています。

【画像2:柄がしっかり繋がっている例】

※衿元から胸元、袖にかけて柄があり、つながっています。

実は私、2か所の対策講座を受講した経験があるのですが、指導者の間でも解釈が分かれることを知りました。
ある先生は「画像1(赤色)のように部分的に途切れていても(総模様でなくても)可」と認識されており、別の先生は「少しでも途切れていては適切ではないかもしれない」とお考えでした。

結論として、万全の状態で臨みたいのであれば、「誰が見ても問題のない総絵羽模様(画像2(緋色)のような状態)」を用意なさるのが一番無難だと私は思います。

迷走した私からの、ざっくりとしたご提案

検定のために、改めて要件を満たす総絵羽模様のお振袖をWEB等で購入しようとすると、「これは本当に条件を満たしているのか?」と、ものすごく神経をすり減らします(私は迷走しまくりました)。

そこで、今更言われなくても……という事柄ではございますが、私からのざっくりとしたアドバイスです。

まず、個人的な解釈として、「昔の着物(昭和の時代のもの)には、しっかりとした絵羽模様が多い」という印象を持っています。(もちろん例外もあるので、この捉え方だけで判断するのは危険ですが、ざっくりとした目安としてお考えください)

大切なのは、「全体の柄付きで判断する」ということです。

着物を広げて「一枚の絵」のようになっているデザインであれば大丈夫です。
仕立ての都合上、縫い目(接ぎ)の部分で柄が数ミリずれてしまうことはありますが、それをもって「絵羽ではない」と判断されることはありません。

もともと絵羽模様は、白生地を仮縫いして着物の形にし、そこに一枚の絵を描くように染め上げていくという、大変手間の掛かる技法で作られる格の高いお着物です。
しかし、最終的に着用される方の体型(マイサイズ)に合わせてお仕立てをするため、縫い合わせの段階で柄に多少のズレが生じるのは、和裁の性質上「ごく普通のこと」なのです。

ですので、「お仕立てによるわずかなズレ」と、「根本的なデザインが絵羽であるかどうか」は全く別の問題ですので、その点はどうかご安心ください。

「静かな退場」のリアル

持参品の点検時、お着物など受検要件に満たないものであれば、原則として失格となり、すみやかに退場するという流れになります。

「いくらなんでも、そこまで厳しくないだろう」と思われるかもしれませんが、違わない徹底された事柄です。
失格、退場となる受検者の方がいらっしゃるのは紛れもない事実です。

私が受検した時も、おそらくいらっしゃったようです。
なぜ「おそらく」という言い回しなのかと言うと、本当に静かに退場されていく様子を肌で感じたからです。
当たり前のことかもしれませんが、複数の検定委員の先生方が公平にご判断され、静かなやり取りがあった後、受検者が静かにたとう紙を畳む音と、静かに会場の扉が開閉する音だけを感じました。

静かに、短時間に、気配も極少に進む事柄なのに、重かったです。

「価値ある迷走」にするために

決して良い参考例ではないかもしれませんが、正直にお伝えしますね。
私は結局、この受検のために「3枚」の振袖を用意しました。
当時の私の迷走っぷりも、甚だしいですよね(笑)。

ずっと迷走は、苦しいです。
「価値ある迷走」として落ち着かせるためには、持参品が要件を満たしているかどうか、ご自身で徹底して突き詰めるプロセスが絶対に必要だと、ここに添えてお伝えいたします。

絵羽模様の選択は、1級実技試験の準備における最初で最大の『やま』かと存じます。
着実に合格へと至るための第一歩として、まずはこの『やま』を確実に乗り越えてください。

ご参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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