1級着付け技能士の実技試験に向けて、持ち物の準備を進めていると「あれも必要かも」「これも持っていった方が安心かも」と、何を持参すべきか迷い、無意識のうちに荷物が増えてしまう傾向にありませんか?
「備えあれば憂いなし」という言葉がありますが、私の試験に対するスタンスは、もしかするとその言葉に反しているかもしれません。
あくまで私自身の経験に基づく事柄ではございますが、色々と迷走した結果、私の徹底した備えとは『使わないものは、最初から持参しない』というところに落ち着きました。
今回は、私が実際の受検に際して「あえて持参しなかった品」と、その理由についてお話しします。
私が受検に「持参しなかった」4つのアイテム
結論から申し上げますと、私が合格した年に持参しなかったのは以下の4点です。
- 帯板(後ろ板) ※前板の1枚のみ持参
- コットン
- はさみ
- ソーイングセット
なぜこれらを持参しなかったのか。一つ一つ解説していきますね。
1. 帯板(後ろ板)は入れず、前板1枚のみに
受検者持参品の規定には『帯板 数:2枚以内』とあります。
最初は「完成度を高めるためには後ろ板も入れたほうが宜しいだろう」と考え、2枚使用で練習していました。しかし、対策講座の先生から「無理に入れる必要はないのでは?」とご提案いただき、潔く前板1枚のみとしました。
2. コットン(迷走していた不合格年の反省)
公式の『よくある質問』や『受検者持参品』を見ると、コットンの規定について細かく書かれています。
【よくある質問より抜粋】
Q.ロールコットンを切って持参することは良いですか?
A.長さを切って持参することは可ですが、切り込み等を入れることは加工に当たるので不可です。市販されている状態のコットン(カット綿等)は可です。
実は、私が不合格になった年、このコットンを持参していました。
補整に使う予定が全くないにも関わらず、です。「規定に細かく書いてあるから、持っていなきゃいけないのかな?」と、受検直前まで迷走ぶりを貫いてしまっていた、宜しくない例としてご参考までに(笑)。
自分の着付けプランが定まった合格年には、一切持参しておりません。
3. はさみ
持参は「自由」とされていますが、私の手順の中で、現地ではさみを使用する見込みは全くなかったため、持参しませんでした。
4. ソーイングセット(実はルール違反!?)
まだ漠然と受検を考えていた頃、ネットで「試験にはソーイングセットを持参」というような情報を目にしたことがありました。
しかし、私が受検した年の注意事項には、そのような記載はありませんでした。過去の試験では実際に掲載されていた時期もあったようですが、検定のルールは年度によって変わっているのですね。
さらに重要な点として、規定には『※上記のもの以外は、持ち込まないこと。』と明記されています。
つまり、指定されていない年度においてソーイングセットを持ち込むことは、明確なNG(ルール違反)となってしまいます。
過去の古い情報に戸惑った時期もありましたが、「常に自分が受検する年度の最新ルールが絶対」と心に決め、私自身の2度の受検とも、持参することは全く考えませんでした。
「使わないものを持たない」最大のメリット
このように、「絶対に使用する品のみ」に絞り込んだことで、私的にすごく良い方向に作用したことがあります。
それは、ミスにすぐ気づける環境ができたことです。
練習時、まだ技術が低空飛行だった頃は、着付けが終わった後に伊達締めや腰紐が余って残っていることがありました。
しかし「絶対に使用する数」しか出していないのですから、アイテムが残っている=工程を飛ばしている(宜しくない状況だ)と、自分自身に強烈に覚えさせることができたのです。
ことさら、あえてお伝えするような目新しいテクニックではありません。ごくごく当たり前のことです。
しかしながら、この「当たり前」を徹底することが、結果として一番有効な備えとなりました。
最後の5分間を、美しく迎えるために
この当たり前の「引き算」を徹底した結果、実際の受検本番ではどうなったか。
全ての工程を終え、最後の5分間(最終確認と手直し)になる頃、衣装敷を片付ける際、その上に残っているものは、衣装箱として使用した『風呂敷』ただ一つのみでした。
本番の会場には、検定委員の先生方がずっと周囲にいらして、絶えず受検者の所作を見られています。
もし「念のため」と持参した余計なアイテムが散乱していて、片付けに煩わしさを感じてしまっては、美しい所作とは言えません。それはきっと、誰も望まない状況かと存じます。
淀みなくスムーズに最後の詰めへ移行するためにも、「使わないものは持参しない」。
これが、私なりの徹底した「備え」となりました。
ご参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

