1級着付け技能士の実技試験に向けて、小物類の選定で頭を悩ませていませんか?
「帯締めは平組の方が心象が良いのではないか」
「帯揚げのいりくが上手く決まらない」
技術的な練習に加えて、こうした小物選びの迷いは、受検生の心を大きく消耗させます。今回は、私が不合格だった年の「迷走」と、そこから合格年に向けてどのように小物を絞り込み、こだわっていったのか、「帯周り攻略」について赤裸々にお伝えします。
帯締め編:私が「丸組」を選んだ決定的な理由
まず、帯締めに関する試験の注意事項を確認してみましょう。
【試験要項より抜粋】
名称:帯締め 数:1 種類:飾り物は不可。
仕様:帯結びは本結びにする。
作業時間内に仕様どおりにできていないもの、帯締めが本結びでないものは、減点にとどめる。【よくある質問より抜粋】
Q. 帯締めは平組、丸組どちらでもよいですか?
A. 飾り物がなければ、平組、丸組、丸ぐけのどれでも可です。
要項上はどれを選んでも問題ありません。しかし、私が最終的に実際の受検時に採用したのは「丸組」でした。

なぜか?実は当初、私は「平組」を採用して練習に向き合っていました。「平組のほうが礼装には最適で、検定委員への心象も良いはずだ」という、いったいどこから刷り込まれたのか分からない「呪縛」に囚われていたからです。

不合格だった年、2か所で対策講座を受講しましたが、見解は分かれました。
一方では「平組でしょう」平組が優位でしょう。
一方では「えらいわねぇ」難しい平組を選んだのね。
ちなみに「丸ぐけ」を選ぶという発想は不合格年、合格年ともにありませんでした。
平組と丸組を交互に練習するような迷走を続け、どちらの手ごたえも掴めずにいた私に、転機が訪れます。
ある日の対策講座で、実技試験が近づき受講生も多い中、講師の先生が別の受講生とやり取りしている声が聞こえてきました。
「平組は難しいでしょう。私は受検した時は丸組を使いましたよ。」
「丸組の方が簡単だから」とまでは断言されていませんでしたが、その場の雰囲気と先生の一言に背中を押され、私は「丸組にします!!」と心の中で決断しました。
合格年は迷いなく丸組に絞って練習を重ねました。注意事項の図にあるように、帯の真ん中の位置によどみなく通し、結び目である中心をほんの少し落とした美しい形になるよう、徹底的に手に覚え込ませました。
技術に長けた方であれば「正直、どちらでもいい」と思われるかもしれません。しかし、当時の私はそうではありませんでした。小物類の選定一つで、自分自身を遠回りさせてしまったという深い反省があります。
帯揚げ編:「いりく」の難しさと三つ折りの開眼
次いで、帯揚げについてです。
【試験要項より抜粋】
名称:帯揚げ 数:1 種類:素材は自由。帯枕にゴムでとめることは不可。
仕様:帯揚げの結び方は、いりくとする。
作業時間内に仕様どおりにできていないもの、帯揚げの結び方がいりくになっていないものは、減点にとどめる。
帯揚げの素材は自由ですが、私は「絞り」を採用しました。
絞りは他のものに比べて裏表の確認が要留意点になるかもしれません。それでも選んだのには理由があります。
それは「振袖といえば絞りの帯揚げ」という既成概念に加え、対策講座の受講生の多くが絞りを持参していたこと。そして何より、絞りのふっくらとした質感が、お胸周りの粗を隠しやすく、私にとって扱いやすかったからです。
しかし、帯揚げでも私は激しく迷走しました。
ある対策講座で、先生から「いりくって理解してる??」という大変貴重なお言葉をいただき、自分の力量のなさを痛感しました。そこから必死に、いりくの形成に励む日々が始まりました。
イメージしたのは、注意事項冊子に掲載されているいりくの図です。それに加えて、「モデルさんのお胸を丸く覆うような、胸高なイメージ」になるよう強く意識しました。
いりくの整え方は多様ですが、私が特に留意したコツを一つお伝えします。
それは、「帯揚げを通す際、モデルさんに向かって右側を少し長めにして通す」ことです。(※絞りを採用していたため、裏表の間違いがないかの再確認は絶対条件でした)。
さらに、帯揚げを美しく見せるためには「幅」も肝要です。
不合格だった年は、帯揚げが太くなりがちだったのを懸念し、「四つ折り」にして臨んでいました。しかし合格年は、王道の「三つ折り」に変更しました。
当然、帯揚げの雰囲気は大きく変わります。三つ折りの帯揚げを練習で定着させていくにつれ、「そうか、この形を受検では求められていたのか」と、確かな手ごたえを感じる瞬間がありました。
まとめ:小物への熱量が合否を分ける
受検を志したばかりの頃は、帯揚げや帯締めといった小物類に対して、これほどの熱い思いやこだわりを持つことになるとは思いもしませんでした。
しかし、不合格を経験し、自分自身の技術と向き合う中で、小物選びから細部の形に至るまで、強いこだわりを持って練習するようになりました。その姿勢こそが、合格への道を切り開いてくれたのだと確信しています。
この経験が、小物選びや「いりく」の整え方で迷っている受検生の皆様の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

