着付けの土台となる「補整」。
当然ですが、この補整工程も実技試験の制限時間に含まれています。
私自身、練習の初期はどうしても「着付けそのもの」にばかり意識が向いてしまい、いざ実際のモデルさんに補整を施す段階になって、「とりあえず土台を作りました…」というふにゃふにゃな状態に陥ってしまいました。それが、私の中に危機感が発動した最初のきっかけです。
腰にあてるタオルのたたみ方を何パターンも変えてみたり、コットンを使って迷走したり……。今回は、そんな試行錯誤の末にたどり着いた「貴重な腰紐の枠を使わず、ガーゼでタオルを押さえる補整術」について、実際のモデルさんでの実践動画を交えてお伝えします。
【動画あり】実際のモデルさんで行う補整実践
ボディ(マネキン)を使った動画は多いですが、実際のモデルさんで行っている動画は少ないため、少しでも皆様の参考になればとアップいたしました。
なぜ「ガーゼ」を採用したのか?
以前の記事(【1級着付け技能士】上限6本の「腰紐」をどう使う?実技試験を乗り切る紐の配分とたたみ方)でも綴った通り、実技試験では腰紐の使用本数が「6本以内(6本の内1本は三重仮紐可)」と厳しく制限されています。
通常の業務では、補整のタオルを腰紐で安定させることが多いのですが、私のお着付けプランでは6本の腰紐の用途がすでに確定していました。そのため、必然的に「タオルはガーゼで押さえる」という選択になりました。
結果として、導入部から腰紐を使わないことでモデルさんにリラックス感を与えられ、必要以上の締め付けによる疲弊を防ぐことにも繋がり、まさに一石二鳥の選択となりました。
【重要】補整品の規定と注意事項の確認
超・心配性の私は、規定違反にならないよう何度も要項を確認しました。念のため、補整に関する注意事項と「よくある質問」からの抜粋を共有します。
【注意事項より抜粋】
- 名称: 補整用タオル、ガーゼ、コットン、はさみ
- 数: 自由
- 種類: タオルは大きすぎないもの(目安として35cmx35cm)。タオルの端を切ったり、糸を抜くなど加工して持参することは不可。
- ガーゼの長さは自由で、二つ折りにして巻いてくることは可。市販されている状態のコットン(カット綿等は可)。ガーゼやコットンを加工して持参することは不可。
【よくある質問より抜粋】
- Q. ガーゼの長さを切ったり、切り込みを入れて持参することは良いですか?
A. ガーゼの長さを切って持参することは可ですが、切り込み等を入れる事は加工に当たるので不可です。- Q. ロールコットンを切って持参することは良いですか?
A. 長さを切って持参することは可ですが、切り込み等を入れることは加工に当たるので不可です。市販されている状態のコットン(カット綿等)は可です。
私が用意した補整アイテム(タオル+ガーゼのみ)
試験会場では、コットンを器用に加工して補整を施している受検者の方も多くいらっしゃいました。しかし正直に言いますと、私はコットンを使った補整が不得意です。
「コットンを使うことが必須」という規定ではないため、私は思い切って「タオル5枚とガーゼのみ」というシンプルな補整で挑み、無事に合格することができました。
モデルさんの体型に合わせた枚数調整
当然ですが、補整はモデルさんの体型に準じて整えます。
- 背面(腰の凹み): タオル4枚を使用。対策講座の先生からは「けっこう使っているなと思ったけど、仕上がりを見たら整っている」とお墨付きをいただき採用しました。
- 前面(胸側): 実は当初2枚施していましたが、先生からの「お胸がしっかりされているから、1枚はいらないのでは?」というアドバイスを受け、1枚に減らしました。
【正直なつぶやき】ガーゼの長さと、面倒だったこと…
この記事を書きながら、「あれ、私ガーゼ何メートル用意したんだっけ?」と気になり、先ほど実際に受検で使用したガーゼを引っ張り出して計測してきました(笑)。
結果はなんと、約5mもありました。
「そんなにいらないんじゃない!?」と方々からツッコミの声が上がりそうな長さですよね。この長さを採用した受検者がここに一人いるという、ご参考までに・・・。
正直に白状しますと、練習が終わった後にこの5mのガーゼをモデルさんから外して、また綺麗に巻き直す作業が……最初は本当に面倒で仕方がありませんでした(苦笑)。練習頻度が増すにつれて感覚は和らいでいくのですが、初期の頃はこの「面倒さ」が常につきまとっていました。
それでも、その面倒さを行うだけの価値がある仕上がりになります。前方、背面、側面、どこから見ても試験で求められる美しい筒状の土台へととのっていきました。
補整時に絶対に気をつけたい5つのポイント
ごく当たり前のことばかりですが、本番の緊張感の中では抜け落ちやすいポイントです。
- 肌着の処理: モデルさんが一番下に着ている肌着が、首回りから余計に覗かないよう最初にしっかり調整します。
- 起点と巻き方: ガーゼを巻き始める位置は「背面腰部分」を起点としました。巻く際の所作として、術者がモデルさんの周りを何周もぐるぐると回るようなことはしません。
- モデルさんとの連携: きっと自然に腕を上げて協力してくださいますが、この呼吸を合わせることも事前の練習でとても肝要です。
- 【最重要】クリップの取り忘れ注意!: 腰を覆うタオルを仮留めするためにクリップを使いますが、ガーゼを巻いて安定したら、必ずクリップを外すことを徹底してください。クリップの取り忘れは失格に繋がります。
- 端の綺麗な処理: ガーゼからはみ出ているタオル部分は、ガーゼの中に綺麗に入れ込んで処理し、見た目も美しく仕上げます。
補整の迷走から抜け出すための、一つのヒントとしてご参考になれば幸いです。
【おまけ】私が本番で実際に使ったガーゼはこちら
受検生の方から「どんなガーゼを何メートル用意すればいいですか?」とよくご質問をいただきます。
私が練習から本番まで愛用し、一番使いやすかった9mの反物ガーゼ(綿100%・日本製)はこちらです。自分で探すのが不安な方や、どれを買えばいいか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

