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【1級着付け技能士】衿芯は奉書紙?プラスチック?「特別感」の呪縛と私の決断

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1級着付け技能士の実技試験において、小物の規定は細かく定められていますが、中には受検生を激しく悩ませるかもしれない項目があります。
それが「衿芯(えりしん)」です。

毎度の注意事項の冊子には、このように記載されています。

【試験要項より抜粋】
名称:衿芯 数:1(持参は自由) 種類:素材は自由。

「持参は自由」「素材は自由」。
この「自由」という言葉が2か所も登場するからこそ、どうすれば正解なのか深く迷ってしまうのです。

今回は、私が不合格時の迷走期を経て、最終的にどのような衿芯を選び、合格を掴み取ったのか。そのリアルな葛藤と決断のプロセスをお話しします。

奉書紙(紙衿芯)への憧れと「1級」の呪縛

私は当初、「奉書紙(ほうしょし)」を使った紙衿芯を採用して練習していました。

普段の業務では、紙衿芯を使用することもありますが、大半はプラスチック製の衿芯を使用しています。馴染みが薄かった紙衿芯を、なぜ最初から試験用に選んだのか。

それは、「人生をかけて臨む1級の試験。特別なお着付けなのだから、格式高い奉書紙の衿芯を使うのがマストだろう」という、どこからかキャッチした情報と強い思い込みがあったからです。

受検練習の初期、私が実際に作って採用していた紙衿芯の写真がこちらです。

元の奉書紙はこのような一枚の紙です。これを裁断するのではなく、各パーツにつき奉書紙を1枚ずつ(計3枚)使用します。それぞれを折り畳んで形成し、一連化させて長襦袢の衿に仕込みます。衿の中心には、首のカーブに沿うよう若干の切り込みを入れています。

※この紙衿芯の緻密な作り方については、コンクールで受賞経験のある素晴らしい先生方がWEB上でたくさん発信されていますので、私のような者がここで解説するのは控えさせていただきます。

そして、この紙衿芯を長襦袢に仕込み、実際にお着付けをした際の外見がこちらです。

……綺麗ですよね。対策講座の先生のご指導の下で仕上げたこともあり、その衿元の美しさに、私自身も改めて衝撃を受けました。

「よし、紙衿芯を使うとこんなにも衿が美しく決まるのか。ならば、検定も絶対に紙衿芯でいくべきだ!」と、この時は固く決意したのです。

なぜ「プラスチック衿芯」に変更したのか?

しかし、最終的に私が合格した年に採用したのは、ごく一般的な「プラスチック製の衿芯」でした。

あんなに美しい紙衿芯に見惚れていたのに、なぜプラスチックに変えたのか。私の未熟さ(ぺえぺえ具合)が露見してしまい恥ずかしいのですが、正直にお話しします。

花嫁さんのお着付けやコンクールなど、「ここぞ」という特別なお着付けの場面では、やはり紙衿芯がふさわしい素晴らしいものです。だからこそ1級の受検でも重用すべきだと思っていました。

しかし、毎日のように練習を重ねていると、当然ですが紙衿芯はだんだんとくたびれてきます。美しい衿元を保つには、適度な入れ替えが不可欠です。
練習のたびに、箇所箇所に縫い付けた衿綴じを外し、新しい紙衿芯を仕込んでまた綴じる……。この作業が、日々の猛練習の中で次第に大きな負担(面倒さ)になっていきました。

ある日、ふと試しに「プラスチック衿芯」を長襦袢に仕込んでお着付けの練習をしてみました。

すると、「あれ、意外と収まりが良い感じがする……」と気づいたのです。

てこずる紙衿芯と格闘しなくても、プラスチックで十分綺麗に衿が抜ける。見栄えの「極上の美しさ」という点では紙衿芯に一歩譲るかもしれませんが、「確実にミスなく、制限時間内に合格ラインのお着付けを仕上げる」という目的において、自分の場合はプラスチック衿芯のほうが圧倒的に有利なのではないか?

改めて注意事項の冊子を確認すると、背面図の衿元は、そこまでエッジの効いた雰囲気ではありません。

「よし、自分にとって確実に優位なプラスチック衿芯一択で、受検に臨もう」
これが、私の決断でした。

合格を最優先にした「背水の陣」戦略

紙衿芯を完璧に使いこなせる技術を備えた方からすれば、「なんて低い次元で合格を目指しているんだ」と呆れられてしまうかもしれません。コンクールに向けて真摯に紙衿芯に向き合っている方の姿を見ると、やはり勝負の時は奉書紙なんだろうなと、今でも深く尊敬の念を抱きます。

以前の記事で書いた「ふくら雀のひだ作り」の時と同じです。
私の中には「紙衿芯を採用すること=格上・プロの証」というイメージの呪縛があり、それを使いこなせる自分になりたいと背伸びをしていました。

しかし結果的に、合格レベルに達するまで紙衿芯を使いこなす努力を、私は手放したのです。
プラスチック衿芯一択に絞ったのだから、もう言い訳はできません。もはや「背水の陣」です。プラスチック衿芯を使って、自分史上最上級の美しさで受検に臨む。そんな強い意気込みに変わりました。

不思議なことに、衿芯を切り替えようとした時、迷う時間はさほど長くありませんでした。立ち止まることなく、日を空けずに練習に向き合い続けていたからこそ、練習過程での無駄な迷いが早々に削ぎ落とされたのだと思います。

振り返ってみれば、こうした「自分には扱いきれないものを手放す」という断捨離的な展開があったからこそ、限られた時間の中で自分のお着付けの技術が研ぎ澄まされていったのかもしれません。

まとめ:あなたにとって「優位」な選択を

最後に、これだけは伝えさせてください。
紙衿芯が醸し出す厳かさと特別感は、本当に素晴らしいものです。現場のお着付けで採用した際、その美しさに私自身が密かに感動してしまうほどです。すでに紙衿芯の技術をお持ちの方や、そこに向けて練習を積まれている方は、絶対に美しいのでそのまま自信を持って採用していただきたいです。

ただ、もしもかつての私のように、「1級だから紙衿芯を使わなければならないのか?」と技術面や練習効率で甚だしく悩んでいる方がいたら、一度立ち止まって考えてみてください。

「自分にとって、どちらを採用することが試験において『優位』に働くか」

持参も素材も自由なのですから、過度に悩む必要はありません。でも私は、本気で合格したかったからこそ、自分の力量と向き合い、泥臭く重きを置いて思案しました。

この私の経験と決断が、衿芯選びで迷走している受検生の方にとって、ひとつのヒントになれば幸いです。

【おまけ】紙衿芯に使う「奉書紙」について

紙衿芯によく使われる奉書紙の一般的なサイズは「B4サイズ」です。
実は100円ショップでも販売されています。(※店舗によって取り扱いサイズや在庫が異なりますので、お出かけの先々で確認してみてくださいね。)

「近くのお店で見つからない」「練習用にまとめて確実に手に入れたい」という方向けに、ネットで買えるB4サイズの奉書紙のリンクも置いておきます。ご自身の練習環境に合わせて、無理なく活用してみてください。

ご参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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